日記帳 2005-01


2005-01-28

盗用の件

 例のUnフォント(UnBatang/UnDotum)、どうやら漢字部分まで石井書体(LM-NKL/MG-A-KL)の盗用だったらしい。私は漢字まで評価していなかった。手落ちといわれればそうだけど両仮名に注目して、また大きさが漢字と仮名とで異なったから(仮名が10%ぐらい小さい)、漢字には気が付かなかったのである。確かに石井ゴシックの特徴であるアクセントがある(単なる線では除かれているが、払いなどでは顕著に残っている)。

 盗用した人は黙っている。改良者はたいてい徒労に終わる。はあ。やってられない。

 外の理由に拘束されるんですよ、全てがクリアーじゃないものとかを改良しようとすると。私が写研製作のjiskan16(JIS X 9051)とかjiskan24(JIS X 9052)とぜんぜん違う書体を構築しようとする(すでに同じ文字はほとんどない)のはそういう理由(石井明朝と同じでは困る)。

2005-01-17

『目』のような形

 上と下、どちらが安定して見えるだろうか。

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 これらは1ドット以下の部分をどう量子化するかを比較したものである。問題を言い換えれば、人が持っている文字の輪郭を手動でラスタライズするときのヒント情報の与え方だと言える。

 ちなみに上は東雲や蕨12に代表されるフォントに使われている方法で、下は最近の出水フォントのルールにのっとった方法である。各書体の『目』の字形が実際にこうなっているわけでないことに注意いただきたい。あくまで部分である。

 一般に漢字の認識は文字の外側が重要な役割をしていることが知られている。そのためビットマップフォントにおける文字の省略は内側から行うのであるが、各部においてはそうではない。そのようなことをすればバランスが崩れるのである。

 確かに上の例では重心が中央になるが、しかし線の濃さが偏って見える。(込み入った線の濃さは紙の上やアウトラインでは内側の線を細くすることで修正するのだが、この場合は骨格が良くないので止めるべきだろう)

 簡単いえば骨格が良くない。文字は一般に上から下へ流れることを前提にしている(欧文・横書きだって巨視的にはそうだ)から、欧文、和文とも重心が中心より少し低くなる。もちろん『V』、『丁』など例外はあるが、基本的にはそうである。

 今回の『目』という部分に注目すると、一番狭い空間はもっとも上の四角で、一番大きいのはもっとも下の四角である(もちろん可視性の都合で線の数が増えると変わることがある)。したがって中央部に線を寄せるなどということはすべきでないのである。

2005-01-14

OASYS明朝

 いいかげんWIFE(Windows Intelligent Font Environment; MS-Windows 3.0 に搭載された外部ラスタライザを組み込むための機構。NT/CE系では利用できない)を使ってられなくなりそう(というより置き換えが決定している)なのでOASYSを叩き込む。うちの機種は富士通製なのでOASYS明朝・ゴシックが組み込まれるはずだが、判定に失敗するので無理矢理放り込んだ。拡張子がTTFでないが、構造はTTF以外の何者でもなかった。

 FM明朝・ゴシック(今のFC明朝体・ゴシック体とほぼ同じもののようだ)ではなにが良くないかといえば、形がもともとのOASYSのものと違うということが大きい。かつてFontCity(WIFE/TOWNSのころ)ではモトヤの字母をそのまま使っていた(『FC明朝体(モトヤ)』というようにフォント名にまで入っていた)が、TrueTypeになったあたりで字の雰囲気が大きく変わった。傾向としてはモトヤ系なのだが新書体的で、『ふ』の形がぜんぜん違う。ゴシック体の『や』にいたっては違和感しかなかった。『や』だ、こんなの。

 私がモトヤにこだわる理由?一番見慣れているから。幼いころ家で取っていた地元の新聞は富士通のCTS(したがってモトヤだった)で組まれていたし、最初に触ったワープロはOASYSだった。

 もちろん、見慣れているからといってMS明朝とかヒラギノ明朝、リュウミンなんかを積極的に使う気にはなれない(本明朝-LならまだしもMSでは・・・)。今の精興社明朝体などにいたっては嫌いの部類に入る。平成明朝は悪くない(用途次第ではヒラギノ明朝、リュウミンより良いくらい)。少し読みにくいので本文には遠慮しているが。

 そういえば、OASYS Viewer用にFM明朝が無償で入手できるとのこと。OASYS外字の都合、必要なのだろうか。

2005-01-04

私的な事柄

 は本来は某所に書くのですが、ここに書かないと旧『泊何水的・・・』関係の人には伝わらないようなので。というより前の学校の関係ですか。DOS系、FONT系や某所関係の人は全く関係ありません。

 登録外から私のPHSに直接メールを送信しても読めません(そういう人は拒否されます)。そのような場合は登録している人(MNCTではS14のYM、KTの二氏のみ)に伝言を頼むか、freemail(それくらい探すように)に送ってください(yahooなどは読み出しが一週間ごとなので止めた方がいいです)。よほどの事がない限り48時間以内に受信した旨を返信するか、何らかの行動をするはずです(以前からの原則です)。

 某件ですが、今回は実はとある関係で知ってました(前回は知らなかったから出くわした)。しかし連絡は受けていないので社会的には知らないことなのです。人として成長していなければ・・・これ以上書くのはやめよう。

Baekmuk Batang以外

 にも石井明朝を盗用した例があったと思うのですが、なんだったっけ・・・。Big5系だったかな・・・。OKLだと微妙だし。

改変と完成度

 についてずいぶん前から悩んでいる。完成度を優先するなら、開発途上のものを作者の預かり知らぬところでデザインを改変されるのはあまり良い事だと思えない。結果としてユーザーを混乱させるだけである。

 そのため出水ビットマップフォントシリーズでは作者に連絡のない改変を希望していない。これは禁止ではない。あくまで希望にすぎない。それに対してパブリックドメインとして疑問であると言う批判も確かにある。しかし、それでは本人が満足するまで公開しないということになるのが落ちだろう。それは避けたい。

 その一方で、何をもって完成とすべきか。作者が満足するまでとしか言えないだろう。現状では2バイト文字の全てについて『作成しただけ』であり、完成したものは一つもない(書体関係Wikiの記述は間違いである)。

 そこで私はこのフォントの完成について時限を付けてみようと思う。本人が完成を宣言するか、二年間更新しないか、本人の死亡など更新が不可となる状況になったとき、このフォントを完成とみなしてよいことにしよう。こうすれば安心して死ねる。

 少し困った連中に文句を言おう。他人が好意で公開しているものに対して、パブリックドメインとか、オープンソースにしろとかいうのはするべき発言ではない。そのような発言は萎縮を招くだけである。オープンソースとかパブリックドメインとかには確かに利点はあるが、同時に無視できないほどの不利な点がある。好意で公開している人にそのような不利益を強いるのか。それは別の方向から見れば悪意でしかない。

2005-01-03

UnDotum続き

 移植した人にメールしたが返信がないので、いいかげんであるが昨日の内容を公に晒すことにする。結論から言うと、UnDotumの仮名は石井中ゴシック体(MG-A-KL)からの盗用を否定できないことがわかった。ちなみにメールの後改めて確認したが、その範囲で仮名の骨格がMG-A-KLのそれと一致しない文字はなかった。

 ここで私が必要と考えることは、

 のみであって、別にUnフォントの活動などを妨害するとかそういう気は全くないことをあえて述べておく。以上。

 追記。返事が返ってきた。仮名部分を削除したとのこと。言葉足らずだったことはお詫びしたい。時間が経っている旨、所有等を述べておかなかったのはまずすぎた。

jiskan24-2003 for TrueType

 を作る実験のメモ。作業は、

  1. jiskan24-2004 for FONTXを第一・二面に分解する。
  2. 第二面のコード領域をバイナリエディタで書き換える(0xF040→0x8140)。実はbdfからの変換時のデータを使ったためこの作業はしていない。
  3. 第一・二面のそれぞれをcb2ttj + fnx2dyna でFONTX2からTrueTypeへ変換する。
  4. ひたすらフォントをコピーする(第二面フォントの領域を元に戻しながら:0x8140→0xF040)。

 注意はフォントのアセントとディセントの値。これが変わると上下方向にずれる(あたりまえだ)。

 サイズが異常に大きくなった(6MB)のでどうしようか考え中。ヒント情報か?

雑考

 どうでもいいことをだらだらと。ここにはどうせフォント関係しか書かないけど。

2005-01-02

UnDotumの日本語版

 /efont/のMailing Listで流れてきた情報により、韓国語のフリーフォントであるUnDotumを林芳樹さんが日本語に移植したとのことを知る。仮名の部分を眺めるとどこかで見た事があるような気がしたので、ちょっと石井ゴシックと比較してみた。・・・ほとんど同じ。私の誤認であればいいのだが、ここまで同じだと盗用を疑わねばなるまい。

 手元にある桑山弥三郎著『レタリングデザイン』の石井中ゴシック体とは特徴的な『こ』はほぼ同じだった(ちょうどよい見本がないので・・・)。『に』は「こ」の上の部分が上に凸かどうかで微妙に違うが別のウエイトのものと一致した。同様に「ふ」も別ウエイトのものと同じ。『お』『た』のように掲載されている石井中ゴシックとは一致しないものもあったが、たぶん他の仮名とほぼ一致するだろうと思われる。

 追記:結局、石井中ゴシック体(MG-A-KL)に骨格が一致した。結局盗用を否定するような違いは認められなかった(『レタリングデザイン』の仮名は古いもののようだ)。「タ」については点が突き出ているかという程度で骨格は同じだった。

 私はこのような韓国語の『フリーフォント』で石井中明朝体の仮名を拝借した例(Baekmuk Batang)を知っている(明らかにNKLであった)。今回も同様であるかも知れないが、本来の石井ゴシックとは骨格は同じだが「タ」などが微妙に違うためはっきりしない。

 しかし盗用したのが事実であれば、かの国ではどういう扱いになるか私は知らないが、日本では写研の商品であるから不正競争防止法に抵触する(追記。著作権性は微妙であるし、誰の所有かも微妙である。しかも作成から50年を経ている。したがってこの法律をあえて指摘しておかなければならない。この事を付け加えなかったのは手落ち)。原作者への確認など善処を期待したい。

フォントの進行は

 って聞かれると困る。ぜんぜん進んでいない。明朝16は2区ぐらいしか進んでないし、ゴシック16の字の修正は全く(β4.0と比較すると数十字ぐらい)。β5は数字がいいから明朝16の第一水準の完成まで小数点以下を使うつもり。当分8ドット平体は知らん。

P.S. 紙に書いた下書きが見たいって希望が来たのですが、見る人いますかね?見てどうするんだろう。


Yu=Izumi@Izumi Lab,2005
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